ようこそ、狂気とカオスの世界へ!

あなたはどこかで広告をクリックしてこのページにやってきたかもしれない。はたまた、検索の末にこのページに辿り着いたのかもしれない。

ただ、きっとあなたは「ベンチャー」や「スタートアップ」のキャリアという少し危険な香りのする、ただどうにも魅力的な言葉に吸い寄せられこのページにやってきた人だろう。

そんなあなたにとって、このページが少しでもベンチャーやスタートアップでのキャリアを理解するうえで役に立てばと思い、青山一丁目のオフィスでせっせと筆を執っています。

本ページは、キャリア面談を通じて質問いただくことや、実際にベンチャーでのキャリアを歩もうとするユーザー様にアドバイスとしてお伝えしていることをまとめたものです。

追加でのご質問や、追記して欲しいものがあれば、遠慮なく下記までお問い合わせください。

career-ask@slogan.jp

●1.あなたにとってベンチャーでのキャリアは期待はずれなものかもしれない

いきなりこんなことを言うと失望されるかもしれないが、すべての人にとって、ベンチャーやスタートアップでのキャリアはオススメできるものではない。

ベンチャーやスタートアップで働いていると、毎日が未知との遭遇だ。不合理で、不条理で、不確実。ストレスも多い日々を過ごすことになる。しかも給与は高くない。なんてバカらしい選択なんだ!

じゃあ、なんでそんな道を選ぶのか。それはきっと世界を変えたいからだ。そんなことに、なまじ躍起になっているのだ。

それでも、興味を持ってしまうあなたに、大手とベンチャーとの違いを書いてみようと思う。

4人乗りのボートと1000人の豪華客船と何が違うのか?

シリコンバレーの親玉ポール・グレアムは、著書『ハッカーと画家』のなかでこう記述した。

「大企業は1000人の漕ぎ手がいる巨大なガレー船のようなものだ。この船が遅くなる理由は2つある。まず、個々の漕ぎ手が自分の努力の結果を見ることができないということ。そして、1000人も人がいれば、平均的な漕ぎ手というのは文字通り平均的である可能性が高いことだ。
その船からランダムに10人の漕ぎ手を選んで別の船に乗せれば、たぶんその船はより早く進むだろう。目の前にニンジンがぶら下がっているからだ。力が余っている漕ぎ手は、自分の努力次第で船のスピードが上げられると知ればやる気を出すだろう」

さて、イメージしてみよう。あなたは1000人の豪華客船のいち乗組員だ。船の見た目は頑丈そのもの。大抵の嵐ではビクともしない。その船ではたくさんの専門家が働いている。船長に航海士、技術者やコックだっているだろう。あなたがちょっとサボったくらいでは、船にはなんの影響もない。なんなら1日寝ていたって、船は問題なく目的地に到着するだろう。大企業とはそういうものだ。そういったエクセレントな仕組みがあるからこそ大企業になったのだ。

じゃあ4人のボートは?もしあなたが1日昼寝でもしていたら、即刻海に突き落とされるだろう。もちろん色々な仕事をしなくちゃいけないだろう。船を漕いだり、地図をみたり。その中には、テンションの上がらない雑用も含まれるだろう。ときにはエンジンが止まるかもしれない。ただ技術者はいない。どうすればいいのか? 沈みたくないなら、修理するしかないのだ。そうやるしかない。意思決定が早い?当たり前だ。船には4人しかいない、今エンジンは止まっている、やることは一つだ。ただ、自身の努力のぶん、船は大きく進んでいく。その成果を肌で感じることができる。それが楽しいのだ。

ベンチャーに向いている人、そうでない人

ベンチャーでのキャリアに向いている人は、4人乗りのボートでの生活を楽しめる人だ。いつ、なにが起こるのか分からない。そんな状況を楽しんで、適応できる人だ。自分のやるべき仕事をきちんとこなしながら、船がより早く進むために自ら考え、行動を起こせる人だ。自分ができる仕事をするのではなく、船が無事に目的地に到着できるよう何でも進んでやってみようと思える人だ。アダム グラント氏が唱える「ギバー(GIVER)=人に惜しみなく与える人」こそベンチャーで成功する人だ。

ベンチャーに向いていない人とはその逆だ。不確実で、不明瞭な状況で身動きがとれなくなる人。とにかく有名な船の乗組員であることが自身の自尊心を保持するためには大切な人だ。自身の役割さえ全うしていれば(なんなら全うしていなくても)飯が食える生活を望む人だ。自分の領域じゃない、専門じゃない、という理由で目の前の問題を(例え船が沈もうとしていても)スルーできる人だ。「テイカー(TAKER)=真っ先に自分の利益を優先させる人」はベンチャーのキャリアには向いていない。

●2.転職活動をする前に考えるべき5つのこと

さて、それでもベンチャーでのキャリアに足を踏み入れようとするあなた。よし!といきなり企業のエントリーを進める前に、少しだけ立ち止まって考えてみてもいいかもしれない。そうすれば、きっとあなたの転職活動は、より良いものになるはずだ。

なにが問題なのか?

あなたはいま、転職活動を開始しようとしているかもしれない。もういやだ。ちくしょー転職だと叫びそうになりながら、帰りの電車のなかにいるのかもしれない。ただ、少し考えてみてほしい。

いまのあなたにとって、何が問題なのだろうか。いまあなたは、何に悩んでいるのだろうか。

なんなら少し紙とペンを取り出して、とにかく書き出してみてほしい。PCやスマホにタイプするのではなく、紙とペンがいい。

さて、書き出した内容を見ながら考えてみてほしい。それらの問題は転職することで解決するだろうか。同じ問題は、転職しても起こってしまわないだろうか。

もし同じ問題が職場を変えたとしても再現性があるものだとするならば、それは間違った転職になってしまう可能性が高い。

あなたが好きな仕事は?嫌いな仕事は?自身の動機を知る

どうせ仕事を変えるなら好きな仕事をした方がいい。ただ意外に「好きな仕事はなんですか?」という質問に答えることは難しい。責任感のある人や、マネージャー以上の人にとってはなおさらだ。好き嫌いで仕事をしている訳じゃないだろう。

じゃあ、こう考えたらどうだろうか。
「やれと言われてもいないのに、勝手にやっている仕事はなんだろうか」
「期限も迫っていて、やらなくちゃいけないのに、手をつけられていない仕事はなんだろうか」
それが、あなたが好きな仕事と嫌いな仕事だ。

Googleカレンダーやタスク管理ツールを立ち上げて色分けしてみるといい。
私はいま、ボスにやれと言われてもいないのに、この記事を書いているが、今週までに出さなくてはいけない予算申請は未着手なままだ。もちろん経費申請も。

どんな価値をつくりたいのか。自己啓発からの脱出

世の中は自己啓発だらけだ。就活や転職というとまずは自己分析しよう、「汝己を知れ」とソクラテスの如く問いかけてくる。とある経営者が言っていた「人生は無意味だ、ただその人生に意味を見出して、そこに専心すれば成仏できる」と。ただ、そんな悟りに到達すことは、ほとんどの人には難しい。

「自分は何者なのか」を問うよりも、「自分は何を創り出したいのか」にフォーカスした方が、よっぽど健康的だ。過剰な自己愛は、人の行動や学びを阻害する。過去の自分に捕らわれるより、未来に目を向けた方がいい。あなたが助けたい人はだれだろうか。その人の負はなんだろうか。そのためにあなたは何をすべきだろうか。

市場価値とはなにか。犬の道を選ぶな

よく20代後半あたりの方から多くいただく質問がある。「これまでの経験に市場価値があるのか」と。さて、市場価値とはなんだろうか。それを考えるには、まず転職市場を理解することが大切だ。

貨幣経済は、貨幣に価値と信頼があることで成り立っている。だからこそお金をもっている人はRICHなのだ。では、転職市場における貨幣とはないか?それは経験だ。もっとわかりやすくいえば職能、つまり何が出来るかだ。

一部の店舗や地域でしか利用できない貨幣に価値がないように、ひとつの企業でしか利用できない職能に価値はない。だからポータブルなスキルや、汎用性の高い専門スキルの価値が高いのだ。

市場価値のないキャリアとはその逆。つまりポータブルでなく、汎用性の低いもの。つまりその会社でしか役に立たないものだ。

では、どのような職能や経験を積めばよいのだろうか。そんなときこそ『イシューからはじめよ』だ。どんなキャリアをはじめるにせよ、解の質は低いはずだ。どんな一流だって、はじめは下手くそだ。

だからこそ、どんなイシューを選ぶかが大切だ。イシュー(=職能)を選ぶにあたって大切にするべきポイントは2つだ。

1.アップトレンドなものか。
投資だって、キャリアだって、マクロトレンドは重要だ。時間が経つにつれ縮小していくマーケットに張るべきじゃない。キャリアだって同じだ。人生を賭けるならアップトレンドだ。

たとえば、生命保険市場のセールスは高給取りかもしれないが、人口減少にともない縮小していくマーケットだ。既存の参入者も多い。あなたがそこでイチから参入して勝てる見込みはどれくらいあるだろうか。一方で、デジタルに関する企業の課題は日々大きくなっている。AIにRPA、マーケティングの領域だってネットの広告費は地上波テレビの広告費に追いついた。椅子が減っていく椅子取りゲームと、増えていく椅子取りゲーム。どちらの方がいいだろうか。

2.好きになれそうか。
どんなにアップトレンドなものだって、そのなかには競争が存在する。そう、結局は人よりも上手くなるしかないのだ。その職能に才能があるかは、いくらストレングスファインダーを弾いたところでわからないが、少なくとも好きになれそうかはわかるはずだ。

下手な職能を選んで10年を棒に振るくらいなら、いますぐ書店に飛んでいって、専門コーナーで一冊手にとって開いてみるといい。土日でも読む気になるだろうか?もちろん好きになる努力も必要だが、アレルギー反応を起こすようなら辞めたほうがいい。

それでも大事なベンチャーとお金の話

世界を変えるための仕事だ。だからお金なんて関係ない。もちろん、そう言える人もいるだろう。ただ、いい大人になったからには守らなければならないものが、一つや二つはあるはずだ。

正直に年収の話をしよう。いま、あなたが思い浮かべているベンチャー企業とは、何人くらいの規模だろうか。それが10名未満とかであれば、そこそこの覚悟をもっておいた方がいい。

もちろん、ビジネス構造や利益率もそれぞれなので、一般的な話という前提だが、10名未満のようなフェーズは、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)の前だ。つまりサービスや商品が未完成で、売れる代物じゃない、売上がないということだ。そんな状況で、もしあなたが経営者なら、あなたにいくら出すだろうか。もちろん、貯金残高がゼロになれば、ゲームオーバーだ。

おそらくは、出ても500万円前後とかの金額になるだろう。ちなみに私たちスローガングループの代表は、創業から2年間で自身に払った給料は200万円だった。経営者だってそんなものである(もちろん、いまではもうちょっといい暮らしをしている)。

もちろん単月で黒字となっているようなビジネスもあるし、在庫を抱えないようなコンサルティングのようなビジネスは別だ。最近では、エンジェルラウンドのようなフェーズから、数億円の調達を完了させるベンチャーもある。それによって、スタートアップも高給な人材を迎え入れられるようになった。が、いまの年収を維持して、というのは少し期待値が高すぎるかもしれない。

20-30名の規模であれば、すでにPMFを経てグロースフェーズに入っているかもしれない。シリーズAを調達して、まさに急拡大しようとしているようなタイミングだ。そうなると役員レベルであれば、700-800のようなオファーもありえる。ただ、あくまで役員レベルだ。メンバーとしてジョインするなら、まあ400万円程度なのではないだろうか。

50-60名。最近では100名未満でもマザーズに上場する。が、上場直前のタイミングでは、利益を強く見せようと少し給与を出し渋るベンチャーも多い。

やはり1000万円というラインは、利益率のよいビジネスをしている企業で、役員級の人に与えられる数字と考えるのがよさそうである。逆にあなたが、それくらいの提示金額をもらったら、それはあなたへの期待が、それくらい高いということだ。

そして気になるのが、ストックオプションだろう。もちろん、経営者の考え次第なので、あくまで一般論として。さて、ストックオプションって、いくらぐらい貰えるのだろうか。ざっくり言えば、役員レベルで1-3%程度、メンバークラスなら0.1%とかだろう。時価総額がマザーズ上場時に100億円だったとして、役員クラスで1-3億円、メンバークラスなら1000万円ということになる。

じゃあ、どうしたらもらえるのか。役員として参画するというパターンはわかりやすいが、いちメンバーがストックオプションがもらえる規模というと、だいたい10名前後くらいだろう。10名くらいで入社した会社がIPOまでいける確率なんて僅かなものだ。創業件数が年間10万社以上あるなかで、IPOは年間100件未満。それくらいの確率だ。

あなたが守らなくてはならないものに対して、どれくらいのリスクが許容されるのか。それによってあなたが選べるベンチャーの規模感は変わってくる。

●3.ベンチャー転職の赤本(傾向と対策)

もしベンチャーの転職希望者がドラッカーの『マネジメント』を読んだら

さあ、いよいよ転職活動のスタートだ。そこでドラッカー大先生から5つの質問を送りたい。
ドラッカー5つの質問
・第1の質問「我々のミッションは何か」
・第2の質問「我々の顧客は誰か」
・第3の質問「顧客にとっての価値は何か」
・第4の質問「我々の成果は何か」
・第5の質問「我々の計画は何か」

もしあなたが、どこのベンチャー企業の選考を受けようかと考えているならば、大事な質問は、「我々のミッションは何か」と「我々の顧客は誰か」だ。

・もし、転職の目的(使命)がどこでも通用する職能を獲得することならば・・・
→顧客は、未経験でもWebマーケティングのポジションを用意してくれている企業だ

・もし、転職の目的が将来CFOになるための経験を積むことならば・・・
→顧客は、未上場で上場準備が終わっておらず、管理部に主要なポジションが空いている企業だ

・もし、転職の目的が起業のための経験を積むことにあるならば・・・
→顧客は、PMF前のアーリーステージの企業、もしくは新規事業を仕込もうとしているような企業だ

まずは転職の目的をクリアにしよう。そして、それが叶えられる企業はどのような企業なのかと、顧客を定義してみよう。そうすれば、受けるべき企業と、受けるべきじゃない企業がわかるはずだ。日本には400万社以上の企業がある。すべての企業の選考を受けている時間はないのだから、セグメントを切っていくしかない。

履歴書、職務経歴書の要諦

受けるべき企業が見えてきたら、次に考えるべきは「顧客にとっての価値は何か」だ。さて、履歴書・職務経歴書の書き方はGoogle先生に聞けばいくらでも出てくる。ここでは、人事・経営者の視点で良い履歴書・職務経歴書を伝えられたらと思う。

履歴書はともかく、職務経歴書を書くとなると手がとまってしまう人が多い。主なパターンは下記の通りだ。

・書くネタがない。
特に第二新卒や、大手メーカー、メガバンクに在籍していたような方に多い。実績もなにも、育成プログラムに乗っかっていただけだし、差別化することなんて難しい。実務といったって、特殊な仕事がほとんどで、外に出ても役に立つ経験なんてない。

・どうまとめたらいいか分からない。
コンサルティングファームに勤めていた方などは、多くのプロジェクトを経験する。3ヶ月ごとのプロジェクトを綿密に記載しても、大河ドラマを書きたいわけじゃないので、どうにも長ったらしい。

・応募先にPRできる経験がない。
キャリアチェンジしようとしている人に多い。マーケティング職にキャリアチェンジしたい。ただこれまでやってきたことは業務改善や、セールスなど、関係ない職歴ばかりでPRできない。

では人事や経営者は、どのような視点で職務経歴書を選考しているのだろうか。
答えはシンプルだ。「その人を雇うメリットがあるか」だ。募集しているポジションで「その人が活躍できるかどうか」だ。もっと露骨にいえば「その人を雇うことで、売上が伸びて、利益が増えるか」だ。
それを踏まえて、書くためのレシピを紹介しよう。

1.まずは、何をしてきたかをあまねく書き出してみる
とにかく書きまくってみよう。入社してから、いまに至るまでを書いてみよう。ポイントは事実と感情と評価を分けて書くことだ。事実はファクトベースでやったこと。感情は自分が感じたこと、評価はまわりから褒められたり、言われたことだ。

2.人よりうまくできたことを抜き出してみる
上記のなかで、人よりも上手くできたことはなんだろうか。努力したことじゃない、上手くできたことだ。大抵の得意なことは自然とうまくできたりするものだ。みんなが偏差値50だったとして60-70とれた仕事はなんだったのか印をつけてみよう。

3.PRすべきポイントを選ぶ
きっといくつか人よりも自然とうまくできたものがあったり、評価されたことがあるはずだ。それは別に表彰されていなくたって、1位をとっていなくたって構わない。問題は、応募先の募集ポジションにPRできそうかということだ。

仮にメーカーの仕入れ担当者がマーケティングポジションに未経験で応募するときのことを考えてみよう。あなたは車や機械をつくるためのネジや板金の仕入れをしている担当者だ。
ただ、将来のことを考えて未経験だが、マーケティングという職能を獲得したい。ただ、そんなことはやったことはない。コトラーという名前を知っているだけだ。

では、どのようにPRしたらいいのだろうか。そんなときは抽象化してみよう。

例えば、1本100円のネジを90円で仕入れられたという成果があるとする。取り扱っている商品は3つ。Aという商品は少々特殊で、得意先から仕入れるしかない。あまり価格交渉の余地はない。ただ、BとCで使っているネジは、ノンコアな部品で、現在の仕入れ先から仕入れる必要もなく、これまで相見積をとったこともない。

そこで、BとCでつかっているネジが製造可能な工場を調べ、必要なロット数を納期までに納品可能な工場を5社選定した。そして相見積をとった結果、1本80円で仕入ることができ、押しなべると100円から90円までネジの単価を抑えることができた。と記載するとする。

未経験でマーケティングポジションを採用しようとする人事や経営者は、その人にいかにマーケティングの素養があるかどうかを見ている。それはビジネスの構造を分解し、数値化し、レバレッジの効く変数を特定し、これまでにやったことのない施策にトライをし、効果を検証するサイクルを回せるかどうかだ。そういった視点で見てみれば、ネジの仕入れだって十分PRに値する。

4.PRできる成果を因数分解する
PRすべきポイントが見えてきたら、「どうしてその成果を生み出せたのか」を分解して説明できるようにしよう。よくあるパターンは自己PRが自慢大会になってしまうことだ。経営者は忙しい、人の自慢話につきあっている暇はない。興味があるのは、その人が役に立つかどうかだけだ。とくに証券や保険などのセールス担当者で、卓越した成果をあげているにもかかわらず、なぜ上手くいったか説明できない人がいる。答えは簡単だ。考えて工夫していないのだ。本人と商品との相性が良すぎてスター状態になっているのだ(ここで褒めるべきは、その人を採用した人事担当者だろう)。

だから、いくら素晴らしい成果だとしても、同じ業界で同じ業務をすることを除けば、その成果を上げられた背景を説明する必要がある。そして、その思考と行動のパターンやプロセスを選考官は評価しているのだ。上記のメーカーの仕入れ担当者の話も同様だ。ただのラッキーだったのでは、その仕事に再現性はない。

その成果に再現性はあるのか。そして、転職先の業務でも、その再現性はあるのか。それをアピールするために、なぜその仕事がうまくいったのかを掘り下げて考えて、記述してみよう。

オファー面談~100年の恋も冷める瞬間~

おめでとう!ついに念願かなって内定まで漕ぎ着けた。ただまだ待ってほしい「我々の成果は何か」だ。内定をとることだろうか?ちがうだろう。会社で活躍して世界を変えることだ。

だからオファー面談でも気を抜いちゃいけない。100年の恋も冷めることもある。
オファー面談とは、企業からあなたへのプロポーズの場だ。あなたを評価している。ぜひともうちの会社に来てほしい。期待する役割はこうだ。年収はご提示の通り。一緒に働こう。そう言ってオファーレター(労働条件通知書)という結婚届を差し出しているのだ。

さて、あなたがプロポーズする側の立場だとするならば、どういう心境だろうか。勇気を振り絞っての告白!「よろしくお願いします」の一言を待ち焦がれていることだろう。

そんなときに「いまちょっと気になっている人がいるので、もしその人にフラれたら結婚してください」と答えられたら、どうだろうか。そう、100年の恋も冷めるって話だ。仮に「他から内定が出なかったので、オファーを受けたい」と言ったところで、待っているのは悲惨な結婚生活だ。

が、こんな悲劇はよく起こっている。せめて「プロポーズしてくれてありがとう、とても嬉しい。ただ心の準備が整っていないので、あと1週間時間が欲しい」くらいに留めておくのが無難だろう。

●4.タブー?誰も教えてくれない会社の辞め方

さて、少々物騒な話をしよう。会社の辞め方についてだ。念願のベンチャーからオファーをもらい有頂天になっていたのもつかの間、次に待ち受けているのは「退職交渉」という気の重たいイベントだ。

企業の就業規則も確認するべきだが、労働基準法・民法から言わせると2週間で辞められる。だが、そんなこと言われても物事は前に進まない。

あなたがやるべきことは、下記のアクションリストだ。

❏1.決戦は金曜日

そもそもいつ退職交渉すればいいのだろうか。そうドリカムもいっていた、決戦は金曜日だ。オススメは就業時間前の時間だ。仮に月曜日に退職交渉するとしよう、きっとあなたが活躍している社員ならば、今週のスケジュールは面談だらけになる。連休前ならなおよしだ。大抵のことは時間が忘れさせてくれる。それはあなたの上司だって同じだ。部下からの退職願いはショッキングだろう。だが喉元を過ぎれば熱さも忘れるはずだ。

❏2.相談ではなく報告しよう

「●●さん、ご相談なのですが、退職しようとおもっておりまして」仮にあなたがそう言ったとしよう、ほぼ間違いなく止められるはずだ。「●●さん、ご報告なのですが、△月△日から新しい職場で働くことになりました。本当にお世話になりました。一所懸命引き継がせていただきます」と相談ではなく、報告ベースで上司に伝えよう。

❏3.転職先の企業名はいわない

大変にお世話になった会社だ。つぎの職場くらい言いたい気持ちはわかる。ただ、とくに大手企業の場合は要注意だ。あなたの会社は、つぎの会社のクライアントになるケースもある。社員を引き抜かれた企業にあなたは発注するだろうか。もしかすると役員同士がつながっている可能性もある。大事なことは、いまの会社に貢献することではなく、次の会社で活躍することだ。

❏4.オファーから入社までの期間の目安は1.5ヶ月

経営者は短気だ。それがベンチャーならなおさらである。なぜ求人を出しているのだろうか。それは手が回らないからだ。一刻も早く来てほしい。半年後きてくれる100点の人より、2週間後にきてくれる70点の人を優先する。それがベンチャーだ。オファー面談から入社までに期間は1.5ヶ月程度だ。2ヶ月を超えるなら少々リスクがある。

もしそれが、オファー面談の際に「1.5ヶ月後にジョインします!」と高らかに宣言した後に、「すみません3ヶ月かかります」となったとしよう。最悪、オファーが取り消されるリスクすらある。オファーレターに記載されている約束を破ったのはあなたなのだから。

❏5.大切なことは口頭+メールで。

『入社1年目の教科書』にも書いてある。大切なことは口頭とメールで伝えよう。人間、追い込まれると信じられない行動をとるものだ。あなたが必死に伝えた退職願いは、もしかすると上司で止められてしまっているかもしれない。上司も、その上司に伝えるのが億劫な仕事なのだ。自分の身を守るためにも、メールでも退職連絡をしておこう。

●5.ベンチャーに入社してまず最初にやるべきこと

有給休暇の消化も送別会も終わった。明日からあなたのベンチャーでの戦いがはじまるわけだ。
あらためて「ようこそ、狂気とカオスの世界へ!」
気がつけば、1万字を越えて長々書いてしまった。

最後にすべてひっくり返すようで恐縮だが、ただ一つだけ言わせて欲しい。

これまでのことはすべて忘れよう。
そして、会社・事業に全力でコミットメントしよう。

あなたはやりたかった仕事があったかもしれないが、急に聞かされてもいない業務を担当することになるかもしれない。なんなら入社して数カ月後には事業がピボットして、別の企業になっているかもしれない。

すべては経験したことのない出来事の連続だ。ホメオスタシスが過去の自分に連れ戻そうと全力で抵抗してくる。変化は痛みだ、出来ないことをして恥もかきたくない。

私のことを全部棚に上げて言えば、自分のことは全部忘れて、会社・事業に没頭しよう。起業家・経営者と同じ当事者意識をもって、コトに向かってみよう。

昔、とあるベンチャーの先輩にこんなことを言われた。
「『絶対コミットメントする。だから気を使ったり、余計な気を回したりしないで欲しい。あなたと一緒に会社を大きくする覚悟がある』って社長に言ったことある?」
その人はいまでは会社の役員だ。
ギバー(GIVER)になろう。そうして分厚い信頼関係が築けたならば、あなたにはきっと面白い仕事が回ってくるはずだ。いや、きっと仕事そのものが面白くなるだろう。

●6.<保存版>情報収集ための7つ道具+ベンチャーとキャリアを知るための書籍リスト

ベンチャーの情報収集ってどうやってるんですか?と聞かれることが多い。そこで、参考になるサイトをまとめてみた

情報収集のための7つ道具

1.TechCrunch(https://jp.techcrunch.com/
通称「TC」。まずはお気に入り登録して、SNSでフォローしてみよう。

2.THE BRIDGE(https://thebridge.jp/)
おなじくテックメディアのブリッジにもご登録を。

3. FastGrow(https://www.fastgrow.jp/)
手前味噌で恐縮だが、話には起業家がもっともフォローしているメディアとのこと。

4.Twitter
誰をフォローするかが悩みどころだが、うちの代表・伊藤はベンチャーオタクだ。だから、伊藤がフォローしている先をフォローするのが簡単でオススメだ。
https://twitter.com/yutaslogan/following

5.ブログ
Twitterで気になる起業家や投資家がいたら、ブログもフォローしたりRSS登録してみよう。近年「note」で多くの起業家が投稿しているので、そちらをフォローしてみるのもいい。

6.官報
「官報ブログ(http://kanpo-kanpo.blog.jp/)]や「官報決算データベース(https://kessan.laboneko.jp/)」上場していないベンチャーの財務状況もわかる。

7.有価証券報告書/IR情報
上場している企業ならば「企業名 有価証券報告書 Ⅰの部」で検索してみよう。上場時の状況や持ち株構成などもわかる。もちろんIR情報も勉強になる。とある起業家は尊敬する経営者の決算を10年分印刷して赤ペンを入れながらチェックしている。

【ベンチャーとキャリアを知るための書籍リスト】

本を読めと言われても、何から手をつけたらいいのか分からない。そこで我々スローガンアドバイザリーが、入社者に渡している書籍リストを共有しよう。

~~キャリア編~~

『きみたちはどう迷うか ~これからキャリアを築くために必要なこと~』酒井 穣 著
・・・まずはキャリアと仕事についてストーリー形式で理解しよう。キャリアの悩みをどう考えるのか。参考文献もためになる。

『キャリアショック どうすればアナタは自分でキャリアを切り開けるか? 』高橋 俊介 著
『働くひとのためのキャリア・デザイン』金井 壽宏 著
・・・コンピテンシー?ぷらんどはぷんすたんす?基本的なキャリア理論を日本を代表するお二人から学べる。キャリアに正解はないが、体系だった理論はある。まずは原理原則の理解をしよう。

『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』クレイトン・M・クリステンセン 著
・・・『イノベーションのジレンマ』でお馴染みのクリステンセン教授の人生哲学。イノベーションのジレンマは人のキャリアにも起こる。もし得たものを捨てられなくなっているのなら、それはジレンマ構造にハマっているかもしれない。

『「普通がいい」という病~「自分を取りもどす」10講』泉谷 閑示 著
・・・少しキャリアから離れるがおもしろい一冊。「自分らしく生きる」ことがなぜ難しいのか。キャリアの向こう側にある、自分らしく生きるためのガイドとして。

~~ベンチャー編~~

『不格好経営―チームDeNAの挑戦』南場 智子 著
・・・永久ベンチャー ディー・エヌ・エー。その創業の舞台裏。スタートアップの創業期を追体験できる。コンサルタントと起業家との違いなどキャリアについても示唆深い。

『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール 著
・・・そもそもなぜ、ベンチャーやスタートアップが必要なのか?テスラ・モーターズのイーロンマスクや、LinkedInのリード・ホフマンを輩出したペイパル・マフィア。その創業者であるピーター・ティールが、母校スタンフォード大学で行った起業講義録。

『Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール』ランダル・ストロス 著
・・・DropboxやAirbnbを輩出したシリコンバレーのスタートアップスクール「Y Combinator」。起業家が創業に至るプロセスや、人員を増やし採用していく背景などが生々しく描写されている。

『HARD THINGS』ベン・ホロウィッツ 著
・・・世界最強のVCアンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者、ベン・ホロウィッツの創業物語。ヤフー小澤氏は、読みながら起業当時のことを思い出し、吐きそうになったという。

『リーン・スタートアップ』エリック・リース 著
・・・スタートアップを科学しようという意欲的な一冊。無駄のない起業のための方法論。サービスづくりはどのようなプロセスをたどるのか、なぜ資金調達するのか、ベンチャービジネスのフォーマットを抑えよう。


最後に、簡単に自己紹介させてほしい。
私たちのミッションとビジョンはこうだ。

【MISSION/ミッション】
意志ある人の道を照らし、
変革と創造の担い手を増やすことで、
新産業を開花させる

【VISION /ビジョン】
Lifetime Career Advisorとして、人生に寄り添い
Human Capital Partnerとして、事業成長に寄与する

私たちはベンチャーとキャリアのプロとして、あなたのキャリアを意志と情熱に満ちたものにしたいと勝手におもっている。

こんな長い文章に付き合ってくれたあなたを讃えたい。
ようこそ、狂気とカオスの世界へ!

※編集後記を追記しました。
【編集後記】「ベンチャー転職バイブル」の執筆にあたって

※「ベンチャー転職バイブル」の続編を執筆しました。
ベンチャー転職1年目の教科書