【第1弾】宇宙ビジネスに挑戦するベンチャー企業たち



今回は「グローバル」といった視点を飛び越えて、宇宙ビジネスという壮大なチャレンジに取り組むベンチャー企業についてまとめました。

NASAやJAXAなど、宇宙事業に関しては公的機関が行っているイメージが強いですが、以下で紹介する背景もあり、民間企業の参入も始まっています。今回は第1弾として、ロケット開発など3つの事業に挑戦するベンチャー企業についてご紹介します。

 

軍事利用→商業利用へ!民間参入の背景

これまでは、莫大な費用がかかり、失敗のリスクも非常に大きかったこと、また軍事目的での活用がメインで考えられていたため政府機関がその主役でしたが、冷戦構造の崩壊により、宇宙技術を軍事目的ではなく商業目的で活用しようという機運が高まり、アメリカ、ヨーロッパ、日本など主要各国が産業育成のために民営化などの競争政策を推し進めたことで、事業リスクが下がりベンチャーに参入の余地が生まれました。

宇宙産業の市場規模は、軍事利用なども絡むために正確な統計を出すことが難しく、13兆円とするものや、20兆円〜30兆円とするものなどその見積もりにはばらつきがあります。

 

どんな事業ができるの?

ところで宇宙では、一体どういった事業が可能なのでしょうか。

宇宙ビジネスにはロケット、衛星などを整備する「宇宙インフラ」、そのインフラを生かした「通信・放送サービス」、その他別の側面から産業を展開するサービスに大別することができます。

以下ここでは、ロケット開発、宇宙インターネットの構築、月探査ロボット開発の3事業に取り組むベンチャー企業についてご紹介します。

加熱するロケット・宇宙船開発

代表的なものはやはりイーロン・マスク率いるアメリカの「スペースX」でしょう。宇宙輸送を業務としており、多くのロケットや宇宙船の開発を行っています。2012年には無人ロケットの打ち上げ、民間で世界初の国際宇宙ステーションとのドッキングを成功させるなど、民間のロケット開発をリードしています。そんな中NASAは現在、民間事業者が作ったロケットの有人飛行計画を進めており、2015年の11月にボーイング社に引き続き、スペースX社と宇宙飛行士の輸送契約を結びました。その計画のもと、スペースX社は宇宙船「ドラゴンV2」と、ロケット「ファルコン9」の開発を進めています。

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他にもロケット開発を進めるスタートアップはあります。あのAmazonのCEO、ジェフ・ベソスの出資により設立された「ブルー・オリジン」は、商業ベースの有人宇宙旅行に向けた開発を進めており、2015年の11月に、宇宙船「ニュー・シェパード」の打ち上げと着陸に成功しました。宇宙空間に到達したロケットが地上に着陸したのは史上初とのこと。

ブルー・オリジンと技術的に競合しているのは、中国が開発を進めているロケット「長征」です。ここではなんと「国家VSベンチャー企業」という構図が実現しています。

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宇宙でのインターネット構築⁉︎

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民間によるロケット開発の先陣を切るスペースXは、他にも宇宙インターネットの構築にも力を入れています。宇宙インターネットと聞いてもピンと来ないかもしれません。これは地球で使うネットを衛星ベースで行うことを指しています。これまでも衛星インターネットは存在していましたが、遅延の問題が存在していました。しかし周回低軌道と呼ばれる上空約160~2,000kmの高度に衛星を打ち上げることでその問題が解消され、インターネット速度の高速化や、これまでインターネット接続が難しかった地域の「残りの30億人」に対してもインターネットを提供することが可能になる、と言われています。

この領域の主なプレイヤーはスペースXと、元Google幹部のグレッグ・ワイラーが率いる「OneWeb」が挙げられます。スペースXにはGoogleが米投資信託会社フィリディティと合計10億ドルの出資を行っています。一方のOneWebには民間の宇宙開発会社であるヴァージン・ギャラクティックなどが支援しています。グレッグ・ワイラーは既に長らく「残りの30億人」に対してインターネットを提供するための活動をしており、2007年にはO3bという会社を立ち上げ、衛星の打ち上げに成功しました。

両者には共通の課題があります。それは地球全体をカバーするほどの衛星にかかる莫大なコスト。OneWebは700機、イーロン・マスクに至っては4000機もの衛星打ち上げの計画を掲げており、これを実現するには1機あたりの価格が現在の1000分の1にまで下がる必要があるといった見方もあります。コスト面の解決が、宇宙開発を一気に推し進めるを可能にすると言えるでしょう。

Googleが主導する月探査ロボットコンテスト

Googleがスポンサーを務める「Google Lunar XPRIZE」では、民間による月探査ロボットのコンテストが行われており、月にロボット探査機を着陸させ、月面を500m以上移動し、HD画質の映像を地球に送信すること実現した民間チームに優勝2000万ドル、総額3000万ドルを支払う内容です。

このコンテストの締め切りは、数回の延長もありましたが現在は2016年末。合計で18チームが参戦しています。

唯一日本から参戦している株式会社ispaceの「HAKUTO」は、今年はじめに発表された中間賞で、機動性の部門で受賞を果たしました。HAKUTOはミッションにこのコンテストでの優勝とともに、縦孔と呼ばれる、月の誕生を理解する鍵となり、人類の長期滞在基地として期待されている場所の探査を掲げています。

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中間賞には他にもアメリカから2チーム(「Astorobic」、「Moon Express」)、ドイツから1チーム(「Part-time Scientists」)、インドから1チーム(「Team Indus」)の合わせて5チームが受賞し、資金援助の意味合いを持つ賞金を受け取っています。

このように、賞金形式のコンテストを実施することで、莫大な予算や高い技術が必要でイノベーションが生まれにくい領域の競争を促進させる動きはとても意義深いですし、そのスポンサーを務めているGoogleは素晴らしいですね。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。民間の宇宙事業に関しては、やはりアメリカの企業が存在感を放っていますね。対して日本は、まだ国家主導のケースが多いです。この背景の一つには莫大な予算がかかることがあるでしょう。イーロン・マスクやGoogleなど、これまで地球上の事業で成功を収め、既に莫大な資金を持っている企業の参入が目立つのも頷けます。

とはいえ、少しずつですが日本企業の宇宙ビジネス進出も見られています。次回は日本のベンチャー企業をはじめ、上記以外の事業に挑戦する企業についてご紹介していきます。