株式会社ワンダーラスト

心の国境を越え、人と人とをつなぐために ~世界をつなぐ新たな旅の価値の創出~

原点は「固定観念」をなくしたいという想い

既に寡占市場と思われる旅行業界において、インキュベイトファンドやリクルートグループなどから出資を受ける稀有なスタートアップがワンダーラストだ。ワンダーラストは、世界中の人々の「心の国境をなくす」ことをミッションに、写真を投稿して旅の体験や思い出を旅行記として記録でき、他のユーザの旅行記から自分だけの旅行プランが作成できるサービス 「Compathy」や、旅に関する情報マガジン「Compathy Magazine」を提供している。「旅の醍醐味の一つは、パッケージツアーで連れて行かれるだけでは味わうことのできない、現地の人々との出会いや歴史的背景・文化理解であり、それが差別や偏見、固定観念という“心の国境”をなくすきっかけとなる」という堀江氏の考えから、同社のサービスは誕生した。

日本旅行業協会やJTB総合研究所が発表する資料によると、消費者の旅行ニーズは、団体パッケージものから、個別・小グループものへと移り変わってきている。この流れを加速させたのは、インターネットの登場と航空会社や宿泊施設の直販化という流通システムの変化である。インターネットの登場により、それまで旅行業者を介して購入・予約されていた航空券や宿泊施設は、ユーザーと直接売買されるようになり、消費者は自身のライフスタイルや好みにあった旅行体験を選択できるようになった。

さらに、個人消費の多様化に伴い、メジャーな観光地以外の、より現地の生活文化を肌で感じられるようなニッチな場所や体験を求める消費者も増えている。少人数参加型のツアー共創サービスや、体験型サービスのマーケットプレイスが登場した理由も、そういった背景があってだろう。消費者の選択肢を多大に広げた一方で、旅行の個人化とサービスの直販化の流れが生み出した負もある。現在、飛行機やホテルの予約サイトは数多く存在するものの、その予約情報をまとめるツールはない。例えば、一日目のホテルと二日目のホテルを違う予約サイトから予約した場合、予約票は別に送られてきてしまう。飛行機も同様で、予約後の旅のプランの管理は非常に面倒だ。

このような個人旅行を計画する際の不便さを、もっと滑らかにするために考えられたのが、同社の旅記録・計画サービス「Compathy」だ。「Compathy」とは、これまでの旅のルートや時間軸といった、旅の「全て」が詰まった旅行記をベースに構成される旅の記録・計画サービスだ。ユーザーは、目的地やテーマごとに他のユーザーの過去の旅行記を探すことができ、実際に現地を訪れた人の声やルートを参考にしながら、次の旅行のプランを立てたり、直接過去の訪問者に質問をしたりすることで、その土地のより深い知識を得ることができる。これまで面倒だった各サイトからの情報を一つにまとめ、さらに過去の蓄積された旅データをもとに、ユーザーが有用な情報を手にすることができるサービスなのだ。

同サービスは、ユーザーにはもちろん、宿泊業者などの法人側にとってもメリットが大きい。現在、大小様々な予約サイトが驚くほど多く存在し、従来「一物一価」の環境にあった旅行商品の価格が、販売状況や販売チャネルにより異なる「一物多価」に移行し、価格の決定権の大部分はプラットフォーマー側に委ねられている。しかし、ユーザーのニーズに合ったプランのみの広告が出せるプラットフォームがあれば、法人側も値下げ競争に参戦することなく、適切かつハイクオリティなプランの提供が可能になる。

これまでなかった「旅のプランニング」というビジネスモデル

ワンダーラストが挑戦しているのは、これまでなかった新たなビジネス領域だ。旅行のプロセスは、「行先を検討する」「現地情報を調べる」「旅のプランをつくる」「予約する」というように大別できる。「トリップアドバイザー」や「booking.com」などの大手サービスは、「行先を検討する」「現地情報を調べる」というフェーズでのウェブ上のクリックや、ユーザーが飛行機やホテルを「予約する」時点がキャッシュポイントになっている。しかし「Compathy」は、この「現地情報を調べる」段階と、「予約する」段階の、点と点をつなげる「旅のプランをつくる」領域にあるサービスのため、直接的には競合しない。

一見、市場規模として小さく感じる「旅のプランニング」領域だが、旅情報のプラットフォームとしてユーザー情報を蓄積し、「旅のプランニング」というフェーズを抑えることができれば、手前の「現地情報を調べる」という領域や、後の「予約する」という領域にまでサービスを拡張させ、ワンストップの旅行計画・予約体験を提供できるようになる。

さらに同社は、膨大なユーザーの旅情報をもとに今後、個人のニーズにもパーソナライズされた“疑似旅”のアイデアを提供していく予定だ。この、個人に対してニッチな旅行プランを提案できることは、同社の最大の強みの一つと言える。これまで旅行代理店の多くは、航空券や宿泊施設の在庫を抱える必要があり、最大公約数的に採算のとれるツアー以外の提供は難しかった。しかしながら、在庫を持たない同社は、例え世の中で一人しか買われないものであっても、ユーザー個人に対して最善のパーソナライズされたプランを提供することが可能なのだ。さらに、ユーザーがいつ、どこに行くのかという情報があれば、そのユーザーに対して、現地のおすすめアクティビティなどの提案を、遠隔からオンタイムで行うことも今後実現していくという。

国際交流NPOからビジネスへの転換

同社代表の堀江氏は、ワンダーラストを立ち上げる以前は、NPOとして活動をしており、旅行業界でのビジネスは考えていなかった。現在もミッションとして掲げている、人々の「心の国境をなくす」ために、海外に対する固定観念や偏見を取り払うきっかけとなるような、国際交流イベントをNPOとして開催していたのだ。

しかし、そのようなイベントに自ら参加をする人は、既に「心に国境のない人」ばかりだったという。そもそも「心に国境がある人」は、海外に目を向けていないため、国際交流イベントにも参加をしないのだ。では、「心の国境をなくせそうな層」とはどこか?そこで着目したのが、「これから海外旅行に行こうとしている人」であり、トラベル領域のビジネスにたどり着いた。世界から差別や偏見をなくすためには、この「これから海外旅行に行こうとしている人」と、さらには「全く海外に興味がない人」という潜在層に着手するべきだと気づいたという。

未知への恐怖を興味関心に変える

この潜在層にアプローチするツールが「Compathy Magazine」だ。海外の恋愛事情や、ちょっと笑える習慣、宗教観など、ソーシャルメディアでの配信を中心に考えられたコンテンツづくりがされている。海外という「未知への恐怖」を「未知への関心・好奇心」に変化させ、未知に好奇心で向き合える人を増やしていくのが目的だ。「旅に行こう」と思い立ち、プランを組み立てるという従来の流れではなく、電車の中でたまたま見た「Compathy Magazine」の面白い海外情報や「Compathy」の旅行記、“疑似旅”のアイデアを見つけ、「行ってみようかな」と需要を喚起する。そういった新たな商流が生まれつつある。

国境を越えたSNSのつながりが生む可能性

「Compathy」はFacebookを通してのみログインを許可しており、将来的にはユーザーの個人と個人との繋がりも可視化していく予定だ。そうすることで、共通の知人を介して旅先の現地の人を紹介してもらうことも可能になる。

「自分の知人に紹介された人であれば、異国の地であっても安心して会ってみようという気になると思います。私は自身の経験から、旅先で現地の人と仲良くなることが、その地をよく知り理解することへの近道だと思っています。そしてそれこそが、差別や偏見という「心の国境をなくす」ことにつながるのです」(堀江)

本構想の実現には「Compathy」のグローバル展開は不可欠であり、そのため入り口となる「Compathy Magazine」は、昨年から英語、中国語(繁体字)での日本国内情報の発信も開始し、今後もより多くの他言語にも対応していく予定だ。旅行記も現在は写真のみが投稿可能だが、将来的には動画の投稿も可能になるという。それによって、より臨場感溢れるコンテンツをシェアできるようになれば、さらに多くの人々への詳細な旅コンテンツの提供を可能にし、旅への需要を増やす契機にもなるだろう。

変化を続ける今のフェーズだからこそ味わえる面白さ

キャリアとしてのワンダーラストの魅力は、キャッシュ部分の地盤は固まりつつある環境でありながら、開発途中のサービスや、組織づくりにも携われる第二創業期の真只中にあるという点だ。社内の文化や雰囲気は、これからチームにジョインした人自身が、色付けできるという面白さもある。

「同じゴールに向かって、同じタイムラインで走っているのであれば、基本的には自由にチャレンジをしてもらえる環境があります。比較的安定した土台で、働く環境を自ら作りながら、おもいっきり新しいことに挑戦したい人にはピッタリな場所です」(堀江)

もちろん、旅が好きなことは大前提だ。“旅を通して心の国境をなくし、個と個をつなぐ”このミッションに共感できる仲間とともに、旅を通して一つにつながる世界をつくるというのも素敵だろう。

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企業詳細情報

社名 株式会社ワンダーラスト
所在地 東京都品川区西五反田7-5-5 Y.Hビル 3階
URL http://www.wanderlust.co.jp/index.html
事業内容 世界とつながる旅のコレクション
“Compathy(コンパシー)”の開発・運⽤
募集職種 ・リードエンジニア(CTO候補)
・コンテンツディレクター
・人事・広報兼バックオフィス
社員数 8名
平均年齢 29.5歳
経営理念ビジョン 【ミッション】⼈々の無関⼼を好奇⼼に変える旅を創造する
【ビジョン】旅と好奇⼼を満たす楽しさを理解し、伝え、サポートする
価値観・求める人物像
    ・好奇⼼を持って仕事に取り組める⽅
    弊社のミッションは、「⼈々の無関⼼を好奇⼼に変える旅を提供する」。職場のメンバーが他のメンバーやその業務内容にも興味を持てないようでは到底実現することができません。好奇⼼ʼ(弊社の定義ではʼ多様性への許容・関⼼ʼとも定義します)とそこから発⽣するコミュニケーションを⼤事にし、またそれを通じて新たな価値を⾃ら創造できる⽅を求めます。

    ・コミットメントを持てる⽅
    当然のことではありますが、⾃分に与えられた役割・業務をʼ⾃分ごとʼとして⽬的を理解し、また責任を持って取り組める⽅を求めています。特に弊社が初期段階にあり専属のマネジャーやディレクターがいない状況にあるため、ここにはコミットメントを果たすための創造や、それを果たせない時に⾃らリカバリーの⽅法を考える⼒や志向も含まれます。

    ・アウトプットのクオリティにこだわれる⽅
    与えられた仕事を、期待通りにこなすことができるだけでは、弊社で仕事をしている意味がありません。弊社のミッション・ビジョンとそれらを実現するバリューを理解し、⾃ら社内の期待を超え、エンドユーザに感動を届けられるような仕事をしたい⽅を全⼒でサポートしたいと思っています。
経営者プロフィール 代表取締役 堀江 健太郎(ほりえ けんたろう)

2008年にIBMビジネスコンサルティングサービス株式会社(現:⽇本IBM)⼊社。
戦略コンサルタントとして、主に事業・組織戦略構築およびマネジメント、また業務プロセス改善プロジェクトに従事し、2011年以降はプロジェクトマネジャーとして数々のプロジェクトで最⾼点のクライアント評価を獲得し同社の成⻑に貢献。
並⾏して2011年には⽇本⽂化を軸にした国際交流イベントを主事業とするNPO法⼈「Japanize」の⽴ち上げを⾏い、1年間で約1,000名の訪⽇外客をイベントに動員。
2013年6⽉に株式会社ワンダーラストを創業、代表取締役に就任。
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